外科学 wikipedia|無料辞書
外科学は外科的手法を用いる全ての分野を包括する基礎となる学問である。
◆ 歴史
16世紀頃の欧米では、主に
医学は
内科学が主流とされ、
理容師が外科的処置を行っていた。その時期の名残として理容店の赤・青・白の看板(
サインポール)はそれぞれ動脈・静脈・包帯を意味すると言われている。
東洋医学では
14世紀には内科と外科の分化が確認されるが、あくまで患部箇所の違いに基づくもので、本格的な分化は
南蛮医学の伝来に触発されて以後のことになる。
現在でも欧米各国では「physician(内科医)」が
臨床医の名称とされ、内科医と外科医が名称から区分されていることも少なくない。
◆ 分野
もともと内科学が
内分泌学や
呼吸器学などのように臓器・機能別に専門化されていったのに対し、
外科学は手技に基づく観点から
脳、
頭頸部、
胸部、
腹部、というように身体の部位別に専門化されていった。
:※例えば内科学において『
内分泌学』は主に
下垂体、
甲状腺、
副腎などの内分泌臓器の疾患を扱う分野であるが、外科学においては下垂体疾患は『
脳神経外科学』、甲状腺疾患は『甲状腺外科』、副腎疾患は『
泌尿器科学』というように別々の領域として取り扱われる。
◇ 主な外科学の分野
近年医学が多様化し「〜外科学」と色々な種類の名称が聞かれるようになったが、ここでは歴史的に古くから存在する代表的な外科学の分野を取り上げる。
・
胸部外科学(Thoracic Surgery)
胸部を中心に扱ってきた分野。特に戦後
人工心肺が開発されてから急激に発展を遂げていった。
・
心臓血管外科学(Cardiovascular Surgery)
心臓や
血管などを中心に扱ってきた分野。欧米では一般に「
胸部心臓外科学(Cardiothoracic Surgery」と「
血管外科学(Vascular Surgery)」という2つの分野に分かれていることが多い。
・
呼吸器外科学(Chest Surgery)
主に
気管・
肺などの
呼吸器(Respiratory)を中心として
胸郭(Chest)全体を扱ってきた分野。
・
腹部外科学(Abdominal Surgery)
腹部全体を中心に扱ってきた分野。一般に日本では馴染みの薄い名称ではあるが、外科学の基礎とも言うべき領域でもあり、欧米等では「
一般外科学(General Surgery)」「
消化器外科学(Gastroenterological Surgery)」というとこれを指す場合が多い。
・
消化器外科学(Gastroenterological Surgery)
胃・
腸などの消化管、および
肝臓・
胆嚢・
膵臓などの外分泌臓器を対象とする分野。語源の通り旧来より
胃腸管(Gastroenterological)を中心に扱ってきた分野から発展していった。現在でも胃腸管を専門に扱う分野と肝臓・胆道・膵臓を専門に扱う分野はそれぞれ独立していると言ってもいい。
・
肛門学(Proctology)
主に
肛門疾患を対象とする分野。
・
小児外科学(Pediatric Surgery)
小児や新生児期特有の疾患を対象とする分野。内科(小児科)に対しての外科(小児外科)となるので、他の外科分野と異なり頭頚部、胸部(呼吸器)、腹部の小児の全外科疾患を扱う。先天性心疾患等を含めた心臓疾患のみ心臓血管外科領域となる。(古くから外科学において小児の疾患を扱ってきた分野として発展していったが、
心臓の手術は戦後
人工心肺が開発されてから可能となったため、先天性心疾患等を含めた心臓疾患の治療は心臓血管外科学の方で発展していった。)
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甲状腺外科学 (Thyroid Surgery)
甲状腺を中心に頚部を扱ってきた分野。
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乳腺外科学(Breast Surgery)
乳房を中心に扱ってきた分野。
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食道外科学(Esophageal Surgery)
食道を中心に扱ってきた分野。元々
耳鼻咽喉科学に近い所から発展してきた分野。呼吸器外科や消化器外科に統合されている場合もある。最近は耳鼻咽喉科学から気管食道科と呼ばれる食道と気管を扱う診療科が誕生している。
◇ 外科学から発展した専門分野
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脳神経外科学(Neurosurgery)
頭蓋内の大脳・小脳、および脊髄などの神経を対象とする分野。
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整形外科学(Orthopaedic Surgery)
四肢および脊椎を対象とする外科。骨・関節・筋を扱う。
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形成外科学(Plastic & Reconstructive Surgery)
体表面の損傷治癒および機能再建に特化した外科学の特殊分野。美容外科を含む。
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泌尿器科学(Urology)
元々腹部外科学の内の一つとして
腎臓、
泌尿器等を扱っていた分野。欧米諸国では現在も外科学の分野として扱われることが多い。
◇ 新しい専門分野
・内視鏡外科学(Endoscopic Surgery)
内視鏡(腹腔鏡・胸腔鏡を含む)を用いた手術に関する外科の一分野。
・移植外科学(Transplantation Surgery)
臓器移植に関する外科の一分野。拒絶反応や免疫抑制剤、感染症などを扱う。臓器移植が普及するにつれ急速に発展してきた。