セイヨウナシ wikipedia|無料辞書
| 種 = セイヨウナシ
| 和名 = 洋梨(西洋梨)
| 英名 = Pear (European Pear)
-->
セイヨウナシ(
西洋梨、
学名:
)とはヨーロッパ原産の
バラ科ナシ属の植物、およびその果実であり、
洋なしともいう。ヨーロッパ、北アメリカ、オーストラリアをはじめ世界中で広く食用に栽培されている。
◆ 概要
形状は、
和なしがほぼ球形であるのに対して、洋なしはやや縦に長く、いびつで独特な形(びん型)をしている。
品種によっては、和なしほどではないが比較的球形に近いもの、逆に、縦に長いものなどがある。果皮は赤や黄色、緑など様々だが、日本において栽培されている品種の多くは緑色で、追熟(後述)させると黄色になる。また、果皮には「さび」と呼ばれる、傷のような褐色の斑が多数ある。
味は酒のように芳醇で甘く、食感はまろやかである。ただし、収穫したての時は硬く、おいしくない。
追熟といって、一定期間置くと熟し、果皮は黄色になり、強い芳香を発するようになる。また、果肉も軟らかくなり、おいしく食べることができる。これは、追熟によって果実に含まれる
デンプンが分解されて
果糖、
ブドウ糖などの糖となるとともに、
ペクチンの
ゲル化により、甘みと滑らかさが増加したため。なお、
冷蔵庫などで冷却することにより、追熟を中断することができる。
バートレットなどの早生種は8月下旬から9月初めに収穫され、9月中には食べ頃となるが、
ラ・フランスなど多くの品種は10月から11月初めにかけて収穫され、食べ頃となるのは11月〜12月である。
◆ 歴史
和なしと同じく古い起源は
中国だが、西(
ヨーロッパ)に移動して分化したものが洋なしである。古くは
古代ギリシアから栽培されていた。日本では
明治時代初めに導入されたが、日本の気候があまり適していないために広くは普及せず、現在では
東北地方などの寒冷地域で栽培されている。なお、生食でも食べられるようになったのは近年のことで、1970年代、80年代ごろまでは主に加工用として生産されていた。
◆ 品種
品種数は非常に多く、ヘドリック著「The Pears of New York」(
1921年)では2900品種が紹介されている。現在では4000品種ほど存在するとみられるが、日本で栽培されているものは、稀少なものも含め20品種程度である。
:生産量のおよそ7割を占めており、日本における洋なしの代表格である。収穫時期は10月上旬〜中旬。
1864年に
フランスで発見された品種だが、現在ヨーロッパではほとんど栽培されていない。外観は悪いが味と香りが良い。追熟による果皮色の変化が小さく分かりにくい。
;バートレット
:生産量第2位。(ただし2位以下は僅差)8月下旬〜9月初めには収穫され、9月中旬には食べ頃になる早生種。17世紀に
イギリスで発見された品種。日本で生産されている品種としてはかなり縦長の形状である。
:生産量第3位。
1882年、
フランスでバートレットとフォーチュニーを掛け合わせて作られた品種とされていたが、遺伝子解析結果異なることが判明している。しかし、正しい掛け合わせは不明。甘く、香りも強い。また、果皮に「さび」が少なく外観が美しいのも特長。大半が
新潟県で生産され、中でも
新潟市南区で最も収穫量が多い。追熟におよそ40日間かかるため、10月中旬〜下旬頃に収穫したあと、市場に出回るのは11月下旬以降となる。傷む直前が最もおいしくなるため、常温の室内に置き香りを楽しみつつ食べ頃を見計らう。主産地である新潟県において「ル レクチエ」という名称で統一することが決められている
[小崎格(著作者代表)『新編原色果物図説』 1996年、養賢堂、ISBN 4842596023]が、「ル・レクチェ」などと小さい「ェ」や中黒区切りの表記もしばしば見られる。
;シルバーベル
:収穫時期は遅めの10月下旬頃。
1957年に山形県園芸試験場で選抜された、ラ・フランスの自然交雑実生。ラ・フランスよりやや細長い形状で、若干酸味が強い。
;ゼネラル・レクラーク
:フランスで発見された、ドワイエネ・デュ・コミスの自然交雑種。果皮のさびが若干多いが、果汁が多く、甘味・酸味ともに濃厚である。主な生産地として青森県
南部町が挙げられる。
;オーロラ
:9月初めには収穫され、食べ頃になる早生種である。
米・
ニューヨーク州農業試験場が、マルゲリット・マルーラと、バートレットを交配して作り出した品種。命名は
1964年。表面の大部分が褐色のさびに覆われている。
;マルゲリット・マリーラ
:9月初めには収穫され、食べ頃になる早生種である。
1874年にフランスで発見された品種で、名前は発見者から。500g以上となる大型の品種であり、1kg近くになることもある。酸味が少なく、果汁が多い。
;ドワイエネ・デュ・コミス
:ヨーロッパにおいて高級品種とされている。品質は良いが栽培が難しいため、日本でも生産量は非常に少ない。それゆえに、「幻の西洋梨」とも呼ばれる。
◆ 産地
前述の通り、日本の風土の多くは洋なしの生産に不向きであるため、収穫量第1位の
山形県だけで6割、以下に続く
長野県、
青森県、
新潟県、
岩手県、
福島県を合わせた上位6県で収穫量の9割以上を占める。
なお、各県における収穫量は以下の通り。(出典:
農林水産省統計情報、2005年)